医用生体工学は医学と工学の学際領域に生まれた新しい学問体系です。その内容は、工学全般で発達した理論、技術、機器、システムなどを医学に導入して生命科学の研究や医療の科学技術化を促進する「医用工学」と生命体の巧妙で卓越した構造や機能を工業機器やシステムに応用する「生体工学」とから構成されています。医用生体工学専攻は医用生体工学に関する基礎と応用研究を中心とした高度な学術研究を推進するとともに、研究者の養成および高度な専門的能力を有する専門職業人の養成という役割を担っています。
これからの医療を取り巻く状況は厳しく、医療資源のふく迫、少子高齢化社会、環境問題、グローバル化、生命倫理などの諸問題が山積していますが、その解決に医用生体工学の果たす役割は極めて大きいといえます。これからの医療は従来の病気の診断、治療、リハビリテーションといった受身の医療から予防、保健、福祉という個々人の主体的な健康維持をサポートする医療へと変化していきます。したがって、真にいのちを大切にする自立した個人から構成される社会を実現するために指導的な役割を果たせる人材が必要とされます。そのために医用生体工学専攻では幅広い視野と総合的な判断力を備えた問題発見・解決型の人材の育成を目標にしています
研究分野
・生体親和性材料の開発に関する研究
・情報通信技術の医療システムへの応用
・睡眠、感覚・認知機能、高次脳機能の研究
・臨床工学機器の特性、操作性等の人間工学的研究
・日常生活動作(ADL)を支援する工学技術の開発
・光の生体作用に関する疫学的研究
・MRIの基礎と応用
・人工膵臓の開発に向けた新しい生体機能代行技術